Wikipediaの町村さんのページには「町村さんとライスさん」の写真がありますが,ライスさんに関する記述は一切ないです。その場合,ユーザがこの写真を見たら,「町村さん」と「ライスさん」の関係に困ってしまうんです。我々は,Wikipediaのリンク構造を解析し,減衰流を用いつことで,「町村さん」と「ライスさん」のような人物間の「えにし」(関係)を発見する手法を提案しています。
関係には明示的な関係と暗黙的な関係の2種類が存在しています.例えば,「友達」は明示的な関係で,「友達の友達」は暗黙的な関係です。
我々の手法では,頂点がオブジェクトを表し,枝がオブジェクト間の明示的な関係を表現する情報ネットワークにおいて,関係の強さを測ることと関係に寄与した事物を発見することを行います。さらに,人物間の関係ではなくて,任意のオブジェクト,例えば,人と国,国と石油の間の関係にも対応できます。
本手法を利用し,「縁」の発見システムを提案しています。本システムでは関係及び関係に基づいたリンキングを理解するための三つの特徴的機能があります。
関係に寄与したオブジェクトを表示し,オブジェクトとオブジェクトの明示的な関係を短い文で説明し,関係の理解を支援します。この例では,石油とアメリカの間の関係を表現しています。
まず,関係に基づいたランキングを構築することができます。例えば,石油との関係の強さにより,国家をランキングします。 そして,各関係に寄与したオブジェクトを分析することにより,ランキングするオブジェクトの分類を可能にしています。例えば,石油への関係に基づいた国家のランキングに対し,本手法で分類された二つのグループはそれぞれ「石油生産国」と「石油消費国」に対応していることが容易に理解できます。
今までの研究では,ランキングそのものをすることができましたが,ランキングの利用を説明することはしなかったのです。本手法では,各関係に寄与したオブジェクトの差分を抽出することにより,あるオブジェクトが別のオブジェクトより特定のオブジェクトと強い関係を持つ理由を可視化します.この図では,どうしてクウェートはカタールとインドネシアより高くランキングされているかの原因を説明しています。一つのパスが一つの暗黙的な関係を表現しています。石油から,クウェートまでのパスが一番多いですから,ユーザはクウェートと石油の関係がカタールと石油との関係とインドネシアと石油との関係より強いと理解できます。