テレビやWeb上などで報道されるニュースには,そのニュースに対して様々な事象が絡み合っているような場合があります.ユーザーがそのようなニュースを理解するときには,そのニュースに関する背景知識を持っていないと,深く理解できなかったり正しく理解できなかったりします.ユーザーが背景知識を得るにはニュースを検索し一つ一つ読む必要がありますが,非常に労力が必要です.本研究では因果関係ネットワークを構築することで,ユーザーに対してニュースの背景知識を提供し,理解支援を行います.ニュースの背景情報を示す上で,「出来事がなぜ起こったか」という出来事の因果関係が手掛かりとなります.本研究では,ニュースに含まれる因果関係に注目しました.Web上のニュース群から,自然言語処理によって因果関係を抽出し,抽出された一つ一つの事象をノード,因果関係を枝として表す因果関係ネットワークを構築します.
因果関係ネットワークの構築方法として,出来事が起こった大元の原因を示したり,出来事からさらなる出来事への波及を表現するため,キーワードの類似度計算を用いて類似事象を表したノードを結合し,因果関係のつながりを表現します.また,ユーザーへ因果関係ネットワークを提示する時には,ネットワークが視覚的に理解しやすい必要があります.そこで,因果関係の頻度を用いたネットワークの整理を行います.
以上のように,ニュースから抽出できる因果関係をネットワークとして表現することでユーザーの理解を支援します.